花が咲く姿は美しく鮮やかですが、いずれは終わりの時がきます。
その花の終わりの様子を表現する日本語には、美しさが込められています。
この記事では、花の最後の表す言葉を紹介します。
散る
「散る」と表現されるのは、桜です。
春の訪れとともに、日本中がピンクに染まる桜。桜は短期間で満開になり、すぐに散ってしまいます。日本文化において「物の哀れ」とも表現され、美しいものの一瞬の輝きとそれが過ぎ去る速さを表すこともあります。桜の花びらが一枚一枚風に舞うさまは、はかなくも美しく、日本人の心を捉えて離しません。
桜をテーマにした歌にも、多く「散る」という言葉が使われています。
落ちる
「落ちる」と表現されるのは、椿です。
椿の花が「落ちる」と表現されるのは、花が枝から直接地面へ落下する様から来ています。多くの花が花びらだけを散らすのに対し、椿は花全体がまるで重さに耐えられなくなったかのように突然落下します。
その様子が、江戸時代の武士の間では、「花首が落ちる」として縁起の悪い花だと言われていました。
こぼれる
「こぼれる」と表現されるのは、梅です。
梅の花が「こぼれる」と言われるのは、花びらが風に乗ってひらひらと落ちる様子を表すためです。梅は早春に咲き、冷たい風がまだ残る中で咲く花。そのため、花びらが風に吹かれて、水滴がこぼれるように散っていく様子が「こぼれる」と表されるようになりました。
散りこぼれた様子を「こぼれ梅」といい、馴染みのある言葉ですね。
崩れる
「崩れる」と表現されるのは、牡丹です。
牡丹の花が「崩れる」と言われるのは、その大輪の花びらが重さに耐え切れず、突然大量に一斉に落ちる様子からです。牡丹は「王者の風格」とも称され、原産国の中国では人気の花です。花が満開の後、花びらがまとまって崩れ落ちる姿は、力強さと儚さを同時に感じさせます。
枯れる
「枯れる」と表現されるのは、薔薇です。
薔薇が「枯れる」と言われるのは、他の花と異なり、徐々に色と形を変えていくからです。薔薇の花びらは一枚ずつ落ちるのではなく、少しずつ乾燥して色が変わり、縮れていきます。この過程で花全体が徐々に力を失い、最終的には枯れた状態になります。この長い過程は、薔薇の持つ華やかさと色彩さが徐々に失われていく様子を象徴的に表しており、美しさの中にも一種の悲哀を感じさせます。
舞う
「舞う」と表現されるのは、菊です。
菊の花が枯れる際、花弁は落ちることなく茎に沿って垂れ下がります。この垂れた花弁が風に煽られて揺れる様子は、まるで舞っているかのように見えるため、「舞う」と表現されます。
秋の季節に咲くこの花は、長寿と健康の象徴とされています。
また、菊は日本で非常に敬愛される花であり、皇室の紋章としても用いられています。
花の最後に込められた日本語の美しさ
これらの花が持つ「最後の表現」は、それぞれの特徴を表していますが、同時に日本人の美意識、特に「もののあわれ」を感じさせる瞬間でもあります。美しいものに対する一時的な感動だけでなく、その儚さや過ぎゆくことへ風情を感じているのでしょう。
花の最後の表現は、日常の生活でも表現されることがあります。
語彙力や会話のネタとして覚えておくのも良いと思います!
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